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高柳美起(Leader) / 内藤模型 / リー・ティアン・ファン
Eチームの視点は“隔てるもの”に置かれた。訪れた家庭には壁や時間、距離による隔てがあっても何らかのコミュニケーションによって〈HOME〉のかたちがつなぎ止められることを感じたようだ。また、彼らは今回のWSではただひとつ訪問取材の他に一般へのインビューを試み、限られた取材だけにはあきたらない問題追求への意欲を見せた。最後に聴衆とともに“プチプチをつぶす”という会場全体を巻き込んだイヴェントは、彼らが見出した“見えざるコミュニケーション”による連帯感生成の実験であり、それは突如現れたつながりのかたち=〈HOME〉として見事に会場全体を包み込んだ。
フィールドリサーチから得たことを次の段階で考えよう。そこで私たちは次の疑問を自身に投げかけた。いったい何が“家”への鍵となるか?

竹村さんの家に滞在し、生活において身体的に分離された家庭をみた。祖父母家庭は一階に、そして父母とその子供達は別の階に住んでいた。
後藤さんの家では、“おばあちゃん”が愛知学院大学剣道部のメンバー7人の学生寮を経営していた。
近藤さんの家では、“お母さん”が公団住宅に住んでおり若い息子が離れて長野に進学していた。

これらの家に類似して見られたことは、コミュニケーションである。コミュニケーションやその欠如は、これらの家族に親密さやあるいは分離をもたらす。

では効果的なコミュニケーションの鍵とは何か?
それを見つけるために、日本語を話さないメンバーが路上で全く見知らぬ人とのコミュニケーションを図ることにした。事前に日本語に訳しておいた、目的の説明と質問のための紙を用意し、30分のうちに声をかけた全
ての10人の日本人と上手くコミュニケーションをとることができた。この経験から、私たちはコミュニケーションの鍵を次のようにまとめることができる。自発的に、心を込めて。そして耳を傾けること。

このコミュニケーションの鍵は漠然としてはいるが実行可能である。要は、心のつながりなのだ。もし私たちが毎日の生活の中でも努力することができれば、家はいつも私たちとともにある。
・一方通行ではコミュニケーションにならない。特にこの3世帯ではこれを考えさせられた。体験、空間を共有することが家の大きな要素だということを、小道具を使ってわかりやすく伝えていた。

・コミュニケーションが家をつくるという点が非常におもしろい。コミュニケーションを体感しました。

・ツールを具体的に使い、プレゼンテーションに全員が参加する、おもしろいパフォーマンスだった。

・とても分かりやすく参加型のプレゼンでおもしろかった。

・さまざまな工夫(インタビューや緩衡材)がとてもおもしろかった。誠実なチームの人柄がよくわかる。

・少し離れたところにいる家族を想う気持ちに注目した点が興味深い。家というと、一つの家にいる人たちの問題だと考えてしまうけど、離れている人どうしのコミュニケーションによって、家を考えるという視点が新鮮だった。

・訪ねた家、心、コミュニケーション。自分らの訪問した家で得たものを、見ている私たちにすごく分かりやすい形
にきれいにまとまっていておもしろかった。

・音のパフォーマンスがよかった。コミュニケーションは、目には見えないけど練習していくといいということが印象に残った。

・皆でそろって一つの作業をすることで、皆につながりが生まれたような感じがおもしろかった。
3世代同居世帯
学生寮として使われる世帯
公団住宅に住む世帯

 

Team E Leader
INAX 総合技術研究所空間デザインセンター
日本
ワークショップの期間中、日本世界各地からの参加者と意見を交わし、思いがけない発見をすることが何度もあった。今までの自分には、当たり前だと決めつけて意識せずに見落としていたものがたくさんあったのだと気づかされた。
「家」とは一体何なのか、その思想をデザイナーとしてどう表現するのか。迷い、戸惑いながら答えにたどり着くことができたと思う。
日常の些細な事に目を向けること、互いの違いを認め合うことで多くを得る事が出来た。身の回りの全ての事象に対して、真摯になることの大切さを感じたワークショップだった。
学生
日本
考えてみれば、“HOME”というものは自分にとってはもともと形のないものだったような気がする。“HOME”は常に感じるものであり、雰囲気に似たようなものであり、「見えないもの」であった。そのことを今回のワークショップを通して、改めて認識できたように思う。
実際に存在している、形のある“家”を訪問する事で、“HOME”というものがその中に隠し持っていた「レイヤー」のようなものが感じられた。私が訪問した家は(あくまで私にとってはという事だが)、比較的一般的な印象があり、イメージを持ちにくいと感じていた。しかし実際に訪問してみると、数多くの事柄が一般的と思える表層の裏には隠れていて、その隠れた層がその家の本質を感じさせ、その本質が“HOME”というものを表しているという事に気付いた。
それは、様々な環境に暮らしてきた仲間と調査した事で、より一層明確になったのだと思う。様々な手段で人と人がコミュニケーションする事で、「見えない」“HOME”というものが「見えた」のだと思う。とても素晴らしい経験になった。ありがとうございました。
Furryfishデザイン社代表
シンガポール
私にとって今回の " i'm home" のワークショップはとても実りある経験になった。日本の家や文化への理解を深めることができたし、コミュニケーションというのは、生身の、そしてあらゆる人間が相手なのだということに気付かせてくれた。
今回、日本や他の国の多くのクリエイティブな人たちと出会い、ともに仕事をするという貴重な経験に恵まれ、そして私たちの考えは似て非なることを実感した。私のチームメンバーである日本人の内藤模さん、高柳みきさんとは、プレゼンテーションを通して多くの有意義なディスカッションをすることが出来た。困難ではあったが楽しかった。
ホストファミリーと過ごしたことは素晴らしい経験だった。中島夫妻には本当に居心地よく過ごさせてもらい、言いつくせないほどのことをして頂いた。
いろいろと助けてくれたみなさんに、“ありがとうございます”と言いたい。
INTERNATIONAL DESIGNERS WORKSHOP 2004