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シンム・ヒュン・ヨン(Leader) / 徳井洋文 / 中川裕基 / リー・ツェミン
Dチームの発表は、聴衆との“経験の共有”がひとつのテーマとなった。ことばにできない〈HOME〉が「ドンドン」「ジャーッ」といったさまざまな〈生活音〉によって目を閉じ耳をすます聴衆へと届けられた。誰もが日常的に経験する音をあらためて異なるコンテクストで体験させることで、“当たり前や普通の経験”が〈HOME〉を構成していることを気づかせようとしたようだ。パネリストからは、人々がそれぞれの価値観に照らして普通を実現しているが、それは必ずしも均一でないといった指摘や、デザイン行為では普通の中での違いこそ注目すべきといった辛口の助言もなされたが、「家は慣れて安らいでつくりあげる行為である」と発表を締めくくったことばには、彼らが議論の末辿り着いた“当たり前”の意味が集約されているように思えた。
訪問した3軒はまったく新しい経験であったが、旧知のようでもあった。この感覚こそが、私たちが理解しようとつとめていた家というものである。それは、私たちを居心地よくさせる日常生活の普通の姿だ。慣れ親しむということは一見小さく重要ではないことのように見えるが、それによって私たちはとても心地よく安心していられるし、ホームを感じることができる。私たちは往々にして家の中での“小さな”経験を見過ごしがちで、それらが家を形成するのにいかに大切かを見落としてしまっている。

想像して下さい
当たり前ということを。
デザインもそんな普通の経験から始まるのです。
・音と映像を結びつけ、想像力をかきたてたプレゼンのやり方は面白かったが、音と家とが結びついていなかった。

・自分には当たり前のことでも、他人から見ると普通ではないということがわかった。友達の家へ行くと、自分の家とは違うにおいや違和感を感じます。細かく調べていくと、例えば同じものを二つの家庭では二つの異なる使い方をしているとかそんなことが発見できたらおもしろい。

・普通ということ。その人にとっての家。「ノーマル」は人それぞれ。「家=personal」

・十人十色、人から見ればノーマルじゃないことが、実はその人にとってはノーマルであるということが興味深い。

・普通であるということ。普通=個性であるということ。誰でも持っている"普通"。でも、誰も持っていない"普通"。その概念が目で見える形になっているものが"home"なのかもしれない。当たり前のようで、当たり前でないのかもしれない。

・"normal"とは何かに着目したことは、文化の違い、本質、特徴を知る、大切な要素のひとつだと思う。

・音の使い方が印象的でした。日常を表す意味でもシャワーの釘は、ドキっとした。導入が上手だと思いました。

・"当たり前"というのが家、というのは、あらためて気付かされた。また、プレゼンテーションの仕方もアーティスティックで素晴らしかった。

・音に着目し、「普通」とは何なのかを考えさせられた。「普通」の中にもとてもたくさんの、人々による違いがあることが分かった。「普通」ということでもって、もっと「家」を追及していくといいと思った。

・普通というよりは"当たり前"というイメージを持ちました。人によって普通という要素は違う。それは人によって「家」に求めるもの、「家」を「家」と感じさせる「普通」は違うのだと思いました。

・環境に慣れていくことは家をつくることだと思った。

・音からつながる映像の意外さがおもしろかった。当たり前のこと、ノーマルということが本当はそうなのかを見つめ直すことができた。
自宅をホームオフィスとして使う世帯
独居世帯(女性)
自宅で教室を営む世帯

 

Team D Leader
ahn graphics
韓国
“私たちは毎日の生活の中での普通の経験から、くつろぎを感じる。”“人はどのようにして自分のいる場所を家だと感じるのか?”もしシャワーから水ではなく、くぎが出てきたら?蛇口をひねって蝶が出てきたら?お茶を飲む時に金魚が出てきたら?ドアにファスナー?ある行動の結果が、いつもと違う予期しないものであったら、警戒し、安心できなくなるだろう。
建築設計事務所
日本
このワークショップでは様々なデザイナーが集結したわけですが、これは非常に刺激的でした。プロダクトではここを重要に考えているんだなーとか、広告デ ザインでは何が重要なのかなど、勉強させられました。普段の生活では同分野の人にしか会う機会がなく、殻に閉じこもっている感じがあったので、今回の経験は新鮮でした。これからも互いに刺激し合っていけたらと思います。
名古屋芸術大学
日本
体験を通して学ぶことで、「暮らす」ということを、今までよりも、よりリアルに感じられ、「暮らし」に対しての解像度が上がった。自分の暮らしを見つめなおすことも出来て、「home」というテーマは私にとって非常に意味のあるものになった。異なる文化圏の人々と接し、意見を交わし、一つのことを導きだしていく過程の中で、共有できる感覚というものがこんなにもあることに感動し、人間の「繋がり」というものを強く認識させられた。また、今回のワークショップには、言葉ではない、理屈ではない、体験を通してこそ学べるものがあった。それはデザインを志す人々にとって、かけがえのない財産になると思う。最後に、お世話になった全ての方々に心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。
シンガポール国立大学
シンガポール
このワークショップで、私は現代の日本の生活の様々な側面を見ることができた。しかし、私が日本の家を理解しようとしていたとき、最も価値あるアイデアを与えてくれたのは、石崎さんの家でホームステイし、彼らと日常生活を共にするという経験だった。この経験を通して私は家というのはある親密性のようなものだと考えるようになった。私たちはよくなれ親しんだオブジェ、空間、イメージ、人々、日課、におい、音、味、質感、文化といったものに対する安らぎや心地よさから、家を感じている。
それは、照明のスイッチが暗闇の中でもわかるようなものだ。
INTERNATIONAL DESIGNERS WORKSHOP 2004