開催概要
デザインミュージアム・コレクションシリーズ展は、2,000点を越えるデザインミュージアムの収蔵品、アメリカン・アール・デコ・コレクションをシリーズでご紹介する企画です。今回は「American Illustration アメリカン・イラストレーション30's」と題し、優れたグラフィックで1930~40年代にかけてさまざまな分野に登場した当時のイラストレーション作品約80点を展示公開します。
アメリカにとって20世紀初頭は技術革新とともに、生活のあらゆる分野において変革がもたらされた時代にあたります。多様な産業の発展の中でもメディアの発達は国土の広い国において大きな意味を持つものでした。1910年代から30年代にかけ、マスメディアの主役は新聞や雑誌といった印刷物やラジオであり、これらの圧倒的な普及は大衆に豊富な知識と情報を提供し、市場に対して大きな力を持つまでになったのです。
当時の出版業界の目覚ましい発展には、雑誌など出版物のビジュアル化が重要な役割を果たしています。19世紀には大幅なコストを要した挿絵(イラストレーション)は、カラー印刷の登場によって身近なものとなり、同時に現代では想像しがたい程の強い宣伝効果をもちました。大判で色彩にあふれた表紙と挿絵、そして掲載される広告は、大衆を魅了します。目ざとい広告主は工夫を凝らした広告を次々と掲出し、増え続ける広告収入で雑誌自体はより低価格に買いやすく、同時に誌面はより華やかなものとなりました。
この相乗効果は莫大な利益をもたらし、雑誌出版はビジネスとして急成長を見せます。印刷業界の発展とともにイラストレーションはさまざまなニーズに応じて百花繚乱の様相をなし、売れっ子のアーティストはイラストレーターとして出版業界に欠かせない存在となりました。彼らの作品は時に雑誌や商品の売上を左右するほどの力をもち、こうしたメディアは芸術家の発表の場ともなっていったのです。また雑誌だけでなく、1930年代に入るとルーズヴェルトの経済政策の一環として、芸術家支援プログラムが組まれ、観光ポスターなどにも多くの芸術家が起用されました。鮮やかで強い個性を持つ当時の観光推進ポスターの多くは、最小限のコピーとイラストのみで構成され、その感覚は現代においても十分に目を惹くものばかりです。
本展では「サタデイ・イブニング・ポスト」や「フォーチュン」の表紙を飾ったモダンなイラストレーションをはじめ、急速に拡大した市場の中で活躍したアーティストによる作品の数々のほか、当時の旅行ブームから人気を集めた南国モチーフのイラストレーションなど、1930年代の世相を反映した個性的な作品の数々をご紹介します。
デザインミュージアム・コレクションシリーズ vol.13 「American Illustration アメリカン・イラストレーション30's」
- 会期
- 2008年3月14日(金)~4月13日(日)
- 時間
- 11:00~20:00(入館は19:30まで/最終日も同じ)◎会期中無休
- 会場
- 国際デザインセンター・デザインミュージアム
〒460-0008名古屋市中区栄3-18-1ナディアパーク・デザインセンタービル4階/電話:052-265-2106 - 入場料
- 一般300円/学生200円(常設展示含む)※中学生以下無料
- 主催
- 株式会社国際デザインセンター
- お問い合わせ
- デザインセンター・事業部「イラストレーション30's」係
アクセス
- 地下鉄名城線「矢場町」駅6番出口より徒歩5分
- 地下鉄東山線「栄」駅7番出口より徒歩7分
- ◎詳しいアクセスはこちらをご覧ください