参加者の声 |
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勝崎 芳雄Yoshio Katsuzaki (社)日本インダストリアルデザイナー協会・中部ブロック長 イタリア訪問は今回で3回目になりますが、過去2回は観光旅行で、観光ツアーコースにはないトリノ、しかも好きな自動車のデザイン会社の訪問の他、現在住んでいる地元で街づくりに関わっているので、トリノでの街づくりの取り組み方にも非常に興味があり、参加しました。 トリノの街づくりで感心したことは、工場跡の鉄骨等、日本では撤去するものを歴史の産物として残し、新たな建物と調和させるという試みです。 デザイン会社訪問では、カーデザイナーの神様とも言われるイタルデザインのジウジアーロ氏はじめイタリアのトップデザイナーと直接懇談するなど、貴重な体験ができ、感激しました。また、お会いしたデザイナーはトップデザイナーとしての技量もさることながら、人間的に非常に好意が持てる人格者であることが特に印象に残りました。 トリノは自動車の街なので今後は“ものづくり名古屋”を支えるインダストリアルデザイン、インダストリアルデザイナーの交流をしてみたいものです。 写真:トリノ再開発地区/工場跡の鉄骨が歴史的モニュメントとして保存されている |
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鬼頭 博Hiroshi Kito (株)環具プランニング・代表取締役 今回のデザイン視察ツアーは、私にとって極めて有意義なものでした。特に学生時代から憧れていたカロッツェリアのピニンファリーナを訪問し、数々のコレクションを自分の目で直接確認できたことが、最高の喜びでした。 1960年代のフェラーリを始めとしたピニンファリーナの造形は、受験勉強中の自分にとってまるで宝石のように輝いて見え、結局デザインの道に進む大きなきっかけになりました。どうして、あんなに張りのある美しい曲面ができるのだろうか?・・・これが長い間の素朴な疑問でした。 今回ピニンファリーナのコレクションの中に、1970年ごろの木型モデルの展示と、当時のボディを職人さん達が金属板を叩き出して製作する工程の説明があり、・・・なるほどこれが美しさの原点だったのか!と納得しました。まさに手工芸の美です。残念ながら現在はクレイモデルとデジタル技術の世界のようですが、できればもう一度手仕事の良さを見直したいものです。 写真:Ferrari P6 Berlinetta Speciale (1968)(上)と木型モデル(下) |
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服部 行晴Yukiharu Hattori グラフィックデザイナー/服部デザイン事務所 旅行前、事務局から渡されたトリノ滞在中のスケジュールがとてもハードで閉口したのですが、実際には、ハードな中にも充実した楽しいプログラムで一般のツアーではとても無理であろうことを体験させていただき、行く先々で歓待され、今となっては感謝の気持ちでいっぱいです。 姉妹都市提携で実現したトリノ・名古屋ポスター交流展はトリノ市中心地でトリノ市役所に近く、旧市街地の雰囲気の良い古いビル1階吹き抜け会場で開催されていました。平日につき現地の方の入場者は少なかったものの、建物の入口両サイドに大きな告知バナーが垂れ下がっており人目を引いていました。会場内にIdcn開催で用意した出品者写真入りパンフレットも用意してあり、持っていかれる姿も見受けられました。あっと言う間の夢のような1週間、関係の皆さんに感謝します。 写真:ポスター展会場自作の前で筆者(右)と岡本滋夫氏(左) |
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林田 直澄Naozumi Hayashida 愛知産業大学学生 今回のトリノデザイン視察ツアーは、自分にとって大変貴重な経験となりました。 特に視察ツアー中に交流した海外のデザイナーの方々や、一緒にツアーに参加した国内のデザイナーの人達との交流です。一緒にツアーに参加したデザイナーの方々は皆さん優しく、視察の時にデザインの話をしていただき、とても参考になりました。 そして今回の視察で一番驚いたのはイタリアのデザイナーの人達のアドバイスでした。さまざまな人に自分のスケッチを見せても、皆ほとんど同じことを言うので本当に驚きました。同時に本当に物を観る目を持っているというのはこういうことなんだと実感しました。そして自分の弱点が明確に分かって良かったです。 イタリアのデザイナーの方々との交流で一番強く感じた事は彼等の気質です。あれはイタリア人独特の物なのかは分かりませんが、皆さんフレンドリーでかつ親切な人たちでした。 ピニンファリーナのジェイソンさんはスケッチまで描いてアドバイスしてくれましたし、ジウジアーロさんも忙しいなかで自分のスケッチをしっかりと批判してくれました。 私も彼等のそういう姿勢を見習って今後の制作に生かしていきたいと思います。 写真:ジウジアーロ氏にアドバイスをもらう筆者 |
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井上 直子Naoko Inoue インテリアプランナー/中部インテリアプランナー協会副会長・国際交流委員長 トリノには今までに数回訪れていますが、今回姉妹都市になって初めての、また、デザインツアーということで、とても楽しみにしていました。 現地関係者の方々によるオリンピック施設や再開発地区への案内は、現場に携わった方々の生の声での説明と、とても的確な日本語への通訳で正確に理解することができました。ピニンファリーナ、イタルデザインの両社を訪問しカーデザインの実際にふれ、Mr.ジェイソン、Mr.ジュウジアロー、二人のデザイナーに会うことができ、デザインについての話や質問に答えて頂く機会を持つことが出来ました。彼らが生み出すオーダーメードのカーデザインがあのような形ででき上がっていく行程は、日本では一般的にはあまり知られていないでしょう。また、それらを支える若者のためのデザイン学校を訪れ、イタリアデザインの深さと広さに驚かされました。 トリノ市表敬訪問では、副市長さんをはじめ市関係者の皆様や多くの方々と歓談することができました。また、由緒あるトリノ市議会室を見学、議長席に立たせていただき、名古屋市の市議会も知らない私には、とても貴重な体験でした。2008年にはデザインフェアーがあるとのこと、その折にはぜひ私たち皆で名古屋ハウスを全面的に応援し、もう一つの姉妹都市であるロサンゼルスで開かれている日本紹介のイベント『JAPAN EXPO』5年連続参加の経験を生かし、その企画実現に頑張らせていただきたいと、今から期待しています。 写真:ピニンファリーナ社にて。Nash Healey Spider(1951) |
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樫澤 三枝子Mieko Kashizawa インテリアプランナー/Act. ヌーヴォー トリノ市役所表敬訪問の懇談で、イタリア初のデザインセンターがトリノ開設される計画について説明があり、名古屋市の協力を得て、例えば「名古屋ハウス」(名古屋を紹介するパビリオン)のようなものをつくりたいというアイデアが出された。 トリノ市側から提示された「名古屋ハウス」についての提案をしてみたい。 人々は社会にこれまで貢献してきたが、自分たちの生活をエンジョイできているのか。モノのデザイン・商品開発・流通。これまでは単なるそのものの展示会、または商品発表会であったが、それを使う、操作する、売る人々の生活は、その地域独特のものがあるのか、人々のライフスタイルと消費行動を検証してみてはどうだろうか?トリノと名古屋、互いに歴史あるそれぞれのライフスタイル・消費行動を検証し、未来に向けた提案を探りたい。 マリオ・ボッタ設計のSANTO VOLTO教会
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黒田 千香子Chikako Kuroda 事務局/(株)国際デザインセンター・事業部 2005年10月にデザイン交流事業のスタートとして、ナディアパークで「トリノデザイン展」と「トリノ・名古屋交流ポスター展」を開催した。ちょうど2006年のトリノ・オリンピック開催まで残すところ4ヶ月程という時期で、展示内容もオリンピックのプロモーションを中心に、カー・デザインからワイン、チョコレートまで、トリノを象徴するものを紹介した。その展示企画担当となり、それまでほとんど知らなかったトリノについて調べるうちに、なかなか魅力的な街だと感じるようになった。 2006年度はトリノを視察するデザインツアーを企画・実施したが、トリノ市や現地コーディネートをしていただいたFORUM社をはじめ、多くの関係の方々の協力で充実した視察を行うことができた。参加者の皆さんにも、それぞれの視点で楽しんでいただけたと思う。実際にオリンピック施設や、カロッツェリア、美術館などを訪れ、事前にイメージしていた以上の満足を得ることが多かった。 また、トリノ市表敬訪問の際、関係者の皆さんのコメントの中に度々出てきた「Passion(情熱)」という言葉が、とても印象に残った。「Passion is here (情熱はここにあり)」」はトリノ・オリンピックのスローガンで、今年のユニバーシアードでも使われている。おそらくトリノ市のスローガンとして、2008年のWorld Design Capitalでも引き続き使われて行くだろう。その言葉にこめたトリノの人々の、情熱が生み出す創造性への自負が感じられる。これから両市のデザイン交流を通じて、名古屋の“情熱”も示していきたいと思う。 写真(上):2005年10月、名古屋で開催した「トリノデザイン展」 |