主な展示作品

流線型ソファセット
ドナルド・デスキー
1934年

カルフォルニアで建築を学び1920年代にニューヨークで広告代理店を設立した、ドナルド・デスキーによるデザイン。ウィンドウ・ディスプレイや家具のデザイナーとして頭角を現し、ラジオ・シティ・ミュージック・ホールのインテリアも手掛けた彼のデザインは、モダンでシンプルな美しさを特徴とする。赤と黒の強い色調と1930年代特有の流線型を大胆に取り入れたフォルムが強い印象を残す。

グローブ・ラジオ
コロニアル社/レイモンド・ローウィ
1935年

1940年代に「ラッキーストライク」のパッケージで一躍その名を世界的に知られるようになり、後年日本の煙草「ピース」のパッケージも手掛けたデザインナー、レイモンド・ローウィ。著書「口紅から機関車まで」で知られるように、小さな日用品から工業製品まで分野をまたぐ活躍を見せた。この地球儀型ラジオは比較的初期の仕事で機能性とともにインテリアとしての楽しさと装飾性を兼ね備えている。

アメリカン・モダン・ディナーセット
ラッセル・ライト
デザイン1937年、製造1939年

“アメリカン・モダン”の名のとおり、1940年代に中流階級の若い世代を中心に大人気となった食器セット。流線型を取り入れたデザインは当初、ノーマン・ベル・ゲデスらと共に舞台美術やコスチュームのデザインをしていたラッセル・ライトによるもの。この作品で一躍テーブル・ウエアのデザイナーとして成功を収め、後にアメリカン・スタイルとも言えるプラスチックの食器もデザインしている。

ベビー・ブローニー・カメラ
ウォルター・ダーウィン・ティーグ/イーストマンコダック社
1938年

コダック社の樹脂製カメラ。初心者向けのこのカメラには軽く遮光性に優れたベークライトが使用された。それまでグラフィックの仕事を中心にしていたティーグが手がけたこのカメラは軽量小型、また樹脂素材ならではの自由なスタイリングで入門編カメラのヒット商品となった。このモデルを基本にモデルチェンジを繰り返し1950年代まで生産され、一般ユーザーの拡大に大きな役割を果たした。

カクテル・シェーカーとトレイ
ノーマン・ベル・ゲデス
1934年

ノーマン・ベル・ゲデスは乗物などの工業製品からキッチン製品まで幅広い分野のデザインを手掛けた。また、著書の中で流線型の輸送機関のプランを提案し、話題をさらった。当時優れた金属製品を数多く手掛けたリヴィアー社から発売されたこのシェーカーセットは、これ以上ない程シンプルなフォルムに1930年代ならではの階段状のラインが効果的な美しさで使われ、華やかなスタイリングとなっている。

バキューム・クリーナー
ヘンリー・ドレフュス/フーヴァー社
1940年

アメリカで芸術を学んだドレフュスは舞台芸術の仕事からデザイナーに転向した。ベル社の電話機、このフーヴァー社の掃除機など、工業製品のヒットを飛ばした。理論的にデザインを捉え、その思想を広めることに尽力した。1939年には1930年代のアメリカを象徴する国家的プロジェクトとなったニューヨーク万国博覧会のパビリオンを設計、独創的な設計で高い評価を得た。

クロック「ゼファー」
ケム・ウェバー/ローソン・タイム社
1934年

流線型を取り入れた個性的なフォルムと金属色がモダンな時計。ドイツ出身のデザイナー、ケム・ウェバーは、第一次大戦を機にアメリカに移住し、ヨーロッパで学んだ知識を元に新しいデザインを次々と生み出した。中でも1920年代から30年代の新素材だった金属の使い方が巧みで、彼のデザインしたスチール・パイプの家具は実用性の高さからも、後年類似品が大量生産された。