50:50 - 恋愛・結婚、仕事・子育て、家族・社会
国内外の分野や大学間を横断して年1回開催される国際若手デザイナーワークショップが今年は2月4日から開催します。

近年、日本では、生活水準が高まり、豊かになる一方で、価値観の多様化に伴い、非婚、晩婚、小子化、高齢化といった傾向が顕著になっています。家庭、家族、仕事に対する従来の価値観が喪われつつあるこうした社会変化に大きく関わるのが女性の存在であろう。先進諸外国の女性とは異なるユニークなアイデンティティを持つと言われる日本女性であるが、都会に住む彼女たちは今、何を考え、何を欲し、どのようなライフスタイルを実現しているのか。彼女達が活き活きと暮らし、参加していける環境や街づくりに貢献できる新たなデザインの提案とはどのようなものであろうか。

本回のワークショップは、映像メディア製作スタジオの BlueSponage (ブルースポンジ) 社 (カナダ) をディレクターに迎え、「50:50 - 恋愛・結婚、仕事・子育て、家族・社会」をテーマに、カナダ、フランス、ポルトガル、タイ、中国、香港、韓国、台湾、日本約50名の若手クリエーター達が、名古屋市をモデルケースに都市と女性のライフスタイルの関係に着目。参加者は5班に別れ、五つのサブテーマ (コミュニティづくり、仕事、安全な街づくり、恋愛と結婚、男・女の差異) の下に名古屋に暮らす女性を対象としたフィールドワーク (*) を行う。

参加者は、女性のライフステージが多岐にわたっていることに焦点を当てながら、現代日本の多様な仕事観や家族観を探り、女性たちの声や、それを取り巻く都市の情報をドキュメンテーション化する手法を学ぶ。フィールドワークのリサーチ結果を得に、シンポジウムを開催、ジェンダーの切り口からデザインによる新しい提案を試みます。
[ フィールドワークについて ]
具体的には、8人 x 5チームに分かれ、2月5日と6日に市内各所を訪問。インタヴュー、ビデオ・写真撮影等を行い、取材結果を考察の上、10日の公開シンポジウムでデザイン提案を発表する。取材には原則として指導者 (ワークショップ・ディレクター) とボランティア通訳者が同行する。
[ フィールドワーク・主な取材先 ]
Team A (PDF) :「コミュニティづくり」
地域における子育てや高齢者や障害者を支援するNPO法人「こども&まちネット」、自然出産を手助け・思春期や更年期の女性のサポートをする「前田助産院 ら・くーな」、多世代間交流スペース「クニハウス」等で活躍する女性を取材。デザインと「コミュニティづくり」の関わりを探究し、新しい提案を考える。
Team B (PDF) :「仕事」
名古屋市男女平等参画推進センターの女性管理職や、転職情報誌「とらばーゆ」(リクルート刊) の編集長を訪ね、女性の働き方の多様性に迫る。管理職を目指す女性が直面する問題を考察するとともに、男女が共に働きやすい社会・職場環境を提案する。参加者は出身国の男女平等施策を事前に調査し、日本の状況と比較する。
Team C (PDF) :「安全な街づくり」
名古屋市交通局が導入した地下鉄女性専用車両や、名古屋芸術大学付属クリエ幼稚園を実際に訪れ、都市生活における子育て環境や、女性にとって安全な街づくりを考える。
Team D (PDF) :「恋愛と結婚」
名古屋に暮らす、様々なライフスタイルの20代女性 (主婦 / 独身、フリー / 勤務、一人暮らし / 家族と同居など) およびブライダルプランナーを取材する。現代女性の恋愛・結婚観を切り口に、非婚、晩婚、小子化現象の要因を探る。
Team E (PDF) :「男女の差異」
日常生活における男女の差異の観点に注目し、日本メナード化粧品において男性用商品を作る女性デザイナーや女性用商品を作る男性デザイナーを取材。また、幼児を持つ多世代同居の家庭を実際に訪問する。異性を眺める互いの視点を考察することから、生活用品開発へのヒントを導き出す。