GLASS DESIGN UPDATE
プロデュース・作品紹介
プロジェクトを始めて
私が使っているコップは1960年代にデザインされたもので、それを購入し使う事が日常の当たり前になっています。フィンランドは特にヨーロッパの中でも最新技術に敏感で開発にも力をいれています。 然し、食器を購入する際には60年代の自国デザインを多くの人が選ぶ事実が滑稽に思えた事があります。 それは、フィンランドデザイン文化への自尊心と製品への強い信頼、デザインと言う「言葉」にたいする強い興味がそうさせるのではないでしょうか。デザイン製品だから、飾っておくだけではなく、かといって粗末に使うのではなく、その中間で「これは誰のデザインだから、今度はこれで食事をしましょう」といった、丁度いい具合だと私はいつも感心します。デザイン作業とは基本的に、社会やその時代に向けた個々が持つ自己創作理論の提案と認識しています。然し、その作業は、社会とその時代の影響なくしては成り立たちません。この曖昧ながらも共鳴共存する要素は、単なる製造過程だけではなく現代社会の中でデザイン文化をつくり続ける原動力の一つとなっています。
フィンランドのTimeless design product とはこの国の歴史の中で、社会変化と供につくりだされた、一種の「デザイン文化アイコン」だと思います。カイフランク等の戦争を経験した世代が唱えた、「人生の価値」「生活する事の意味」は、戦後60年の間、私達、しいてはヨーロッパ人の心に強く語りかけ、それが彼らのデザインを強く尊敬する要因になっていると思えてなりません。
プロジェクト参加者の作品群は、単純な表面や線を使いながらもより造形的で、今までにあまり使われない光と陰の使いかたを見る事ができます。また少し感じる「ユーモア」感は、世界が認めるゆるぎないフィンランドデザイン哲学を思わせながらも、現代の影響をうけた新しさを感じます。ディスカッションの中でよく聞いた、「私らしさ」「今と過去」 「最先端」「フィンランドっぽい」等のキーワードが作品群から感じとれます。今日のデザイナーは、「現在」を見て何を唱えるのでしょうか。参加者達が「timely design product」として唱えたコンセプトは今後どのように社会変化とともに受けとられるのでしょうか。この中から timeless design productが生まれてくるかもしれません。
中田一志
イギリス王立美術大学MA Senior lecturer、アールト大学芸術デザイン学部デザイン学科講師、作家。1967年生まれ。1994年イギリス王立美術大学卒業(Royal COllege of Art,MA)。ヨーロッパ、アメリカで写真や硝子を使いアートプロジェクトや作品を発表。大学では、EU間でのプロジェクト運営、大学院での教鞭をとり、デザイン&アート両方の研究に携わる。日本フィンランド協会会員。
展示作品
Miss mould-blown glass,wheelcutting Shinsaku Fukutaka |
Second Space votive candle lantern mold-blown glass,engraved glass,golf leaf Susnna Hoikkala |
Inverted tumbler and bowl mould-blown glass Marjukka Takala |
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California glass bowl series free-blown Tanja Sipila |
Hanabi wall lamp free-blown glass, metal, led Kirsti Taiviola |
Mussu table light free-blown sandblasted and colour glass, steel Satu Jaaramaa |
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