デザイナーズ・シリーズ展Vol.5 「陰翳」解体新書/黒川雅之の自己解剖 展覧会+デザイントーク開催 |
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国際デザインセンターではデザイナーズ・シリーズ展の第5回として、2003年6月6日~22日にわたり、“「陰翳」解体新書/黒川雅之の自己解剖”を開催した。 建築やプロダクトデザインの分野で幅広く活躍する黒川雅之氏が、これまでの自身のデザインワークと、その背景となる思想を「陰翳」というテーマで自ら“解剖”するというこれまでにない意欲的な展覧会で、5月から6月にかけて富山県高岡市、名古屋、東京の3ケ所を巡回し、好評を博した。 名古屋展では学生を中心とした若い来場者が多く、キーワーズ〈思想〉とキーワークス〈作品〉で構成された本展で黒川氏のデザイン思想に触れ、大いに刺激を受けたようである。展覧会初日にはデザイントークとオープニングパーティが開催され、地元のデザイン関係者や学生ら多数の参加を得た。 展覧会を終えての心境を黒川氏に語っていただいた。 |
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何だか展覧会と講演会を終了して、いよいよ再出発だという心境でいます。これまでの思想を整理することでこれからの創作の足場が出来たのです。 創作は生活行動と同じように思想を生み出す切掛けです。頭だけでは思想は出てこないのであって、創作することで発見できるのです。従って創作の結果 である作品には沢山の思想が埋まっている筈です。それを自ら解読することで自分の思想を発見するという方法をこの展覧会までの作業で試みたのです。自己解剖とはそれを言っていたのです。 この方法は恐らくだれも試みたことのない、初めての試みではなかったかと思います。多くの人はどうしても思想が作品を誘導すると考えている、従って、作品は通 り過ぎたものでほとんど廃棄物のように振り返ることを潔しとしないのです。評論家によるものではない、創作者の論理は実は大変大切な視点です。評論家の視点にはない創作という泥まみれの苦闘の跡があり、それが真実に迫る論理を生み出すからです。 僕にとって意外だったのは自己解剖の結果が日本人のDNAだったということです。あれほど努力して来た創作の、その深部にある思想が自分の体験から生まれた思想ではなく、祖先や人間の本性とも言うべきものに深く根差していたことです。 もう一つの驚きはその日本の思想がことごとく西洋の近代主義のアンチテーゼであり、西洋近代思想を救済する力があることの発見です。間違いなく、日本の思想は西洋近代思想の裏側の思想だったのです。そして、陰翳というタイトルはその代表概念だったのです。
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