ビジュアル・コミュニケーション部門/Visual Communication Division Prize

作品名 Save the river Jadro(ヤドロ川を救おう)
コンセプト クロアチアは淡水が豊富にある数少ない国である。450億m3、もしくは一人当たり9500m3の再生可能な淡水資源がある。他国に比べても豊富であることは間違いない。淡水は様々な形で利用されている。飲料水として使われる以外にも工場用水として使われる。しかし、クロアチアの市民は貴重な飲料水がどのように使用され、汚染されているかについてはほとんど知らない。クロアチアの水事情は危機的な状態ではないかもしれないが、水があることが当たり前の資源としてとらえるべきではないし、もっと危機感を持つべきである。水汚染が進み、水不足という事態になれば、水質にも影響があるであろう。
クロアチアではコーヒーを注文すると、水も一緒に給仕される。今回のプロジェクトでは水を入れるグラスがメッセージの伝達役となって消費者に対し水の諸問題を伝え、将来起こりうる水問題との関連を説明する。プロジェクトが対象としているのはスプリトという町の水資源となっているヤドロ川の水保全であるが、クロアチアの他の水源にも使えるし、世界のあらゆる場所で応用できるものである。プロジェクトは低予算で実施でき、自治体のプロジェクト向きである。
審査員コメント この作品はクロアチアにおける水の問題を扱っているが、「未来のために」という大きな将来の問題として、水の問題は大変大きな課題である。レストランなどで水がサービスされるというクロアチアの環境は日本と似ている。
水資源を大切にしようという気持ちをグラフィック・デザインの力で喚起しようとする試みは理解できるが、水のサービスそのものは本当に欲しい人だけに対して行い、もっと消費する水を減らすような根本的な仕組みを考えることも必要だと思う。
入賞者は名古屋で開催されるワークショップに招待されるが、こうした環境の問題について国籍の違いを越えてともに考える機会が持てることは、大いに意義があると思う。

受賞者名 イゴール・カーリー/Igor Carli
生年 1983年
性別 男性
国籍 クロアチア
職業 学生/スプリト美術大学
学歴 スプリト美術大学・ビジュアルコミュニケーションデザイン専攻 在学
受賞歴 2007 The 9th international festival of creative communications "Magdalena" 最終候補作品(スロベニア、マリボル)
2008 The "Golden Bra" reward in the category of concept design on the 10th international festival of creative communications "Magdalena" 1位 (スロベニア、マリボル)