アメリカン・アールデコ・コレクション

2014.04.16
 
コレクションシリーズ vol.9

「MAGAZINES」30sアメリカ・雑誌の黄金時代

「MAGAZINES」30sアメリカ・雑誌の黄金時代(フライヤー・イメージ)

「MAGAZINES」30sアメリカ・雑誌の黄金時代(展示会場)

国際デザインセンタ−では、開館以来収蔵品であるアメリカン・アール・デコ・コレクションをシリーズ展として紹介している。その第9回のテーマは「MAGAZINES(雑誌)」。1930年代の代表的な雑誌を中心に約200部を公開するとともに、当時の社会背景を伝える生活用品をあわせて展示。雑誌というメディアを舞台に花開いたエネルギッシュで豊かなデザインの世界。私たちの身近なメディアである「雑誌」が飛躍的な発展をみせた1930年代を振り返り、当時のグラフィック表現の魅力と社会背景を探った。

アメリカにおいて1930年代は、それまでにないスピードと規模でさまざまな雑誌が創刊、またリニューアルデザインされた時期であった。

斬新な構成で20世紀を代表するフォトジャーナリズム誌となった「LIFE」や、中流階級に圧倒的な指示を得た「ザ・サタディ・イブニング・ポスト」、表紙のイラストレーションでも話題となった「フォーチュン」、ファッション特集で女性の講読者を獲得した「デリニエイター」などなど、その多様性と華やかさは目を見張るばかりである。

これらの急速な発展には、印刷技術の進歩と出版における収益システムの確立が大きな役目を果たしていた。19世紀末には限られた知識階級のものだった雑誌は、量産と華やかなビジュアル化によってより高品質な大衆の情報源へと変貌を遂げたのである。手彩色に頼っていたカラー図版は、多色刷りの輪転機によって数十セントの雑誌にふんだんに盛り込まれ、同時にその色彩は効果的な広告媒体として出版社に貴重な収入をもたらした。ビジネス市場においても確固たる地位を築いた雑誌は、多大な影響力をもつメディアとなっていった。

30年代の雑誌群の特徴であり最大の魅力は、何と言ってもそのビジュアル表現にある。優れたカメラマンを次々と起用した「LIFE」しかり、 ノーマン・ロックウェルのイラストレーションで知られる「ザ・サタディ・イブニング・ポスト」しかり、この頃隆盛を誇った雑誌の多くは斬新で力強い魅力にあふれ、今日では美術的評価も高まりつつある。デザイナーやカメラマンによる洗練されたグラフィックや効果的な文字はむろんのこと、それらをまとめあげた編集者たちの感度の高さ、力量は注目に値する。知的中流階級を狙った品よく美しいものから、ゴシップや奇抜なアイデアを売りにした表現まで、ターゲットによる多様なバリエーションも見事である。

主な作品
           LIFE
LIFE/1937年10月18日号
LIFE LIFE
LIFE/1937年5月31日号(写真左)、1937年8月9号(写真右)
THE SATURDAY EVENING POST DELINEATOR
ザ・サタディ・イブニング・ポスト/1938年7月23日号(写真左)
デリニエイター/1934年7月号(写真右)

Fortune Fortune
フォーチュン/1936年11月号(写真左)1938年6月号(写真右)

IdcNデザインミュージアム・コレクションシリーズ vol.9
「MAGAZINES」30sアメリカ・雑誌の黄金時代

会期:2003年3月28日(金)〜5月11日(日)
会場:国際デザインセンター・デザインミュージアム
主催:株式会社国際デザインセンター