アメリカン・アールデコ・コレクション

2014.04.16
 
 
コレクションシリーズ vol.8

アメリカン・アール・デコ モダンライフの時代

アメリカン・アール・デコ モダンライフの時代(フライヤー・イメージ)

アメリカン・アール・デコ モダンライフの時代(展示会場)

国際デザインセンターでは、1930〜40年代アメリカの生活用品約2,000点を収蔵し、一部を常設展示と、年1〜2回の企画展で紹介してきた。vol.8では、常設展示のコーナー・リニューアルを記念して、これらの収蔵作品から、戦後の日本も多大な影響を受けたアメリカンライフのルーツともいえる優れた作品、約200点を一挙に公開。20世紀の生活様式の先がけとなったこの1930年代当時の雰囲気を、人々の生活シーンをいろどったさまざまなデザイン製品で紹介。後年のフィフティーズ・スタイルへの流れを想像させるカラフルなキッチンや、クロームの輝きも美しい流線型の家具など、従来のシリーズ展では展示できなかった大型作品も一堂に出品。当時のモダンライフを彷佛とさせる豊富な資料を満載してお届けした。

機械技術の進歩がこれまでにない豊かさをもたらした20世紀初頭、アメリカでは後年に世界中に広がった大量生産、大量消費の流通システムが誕生、発展した。21世紀をむかえた現在では、その問題点、ことに使い捨て文化への猛省を迫られているが、本来その目的は、一度に大量に生産することによって、優れた性能を持つ製品を多くの人に、より安価に提供することにあった。

当時新しい機能や素材をもった新製品は、一部の人の贅沢品ではなく、「手に入るワンランク上の新生活」を象徴するものとして、絶大な人気を集めた。事実1920〜30年代の技術の進歩は、1929年の大恐慌にはじまる不況の中でも十分に人々の購買意欲をそそるほど、めざましいものであった。家庭への電気の供給や鉄道の整備と路線拡大、また、ラジオやテレビをはじめとする情報媒体の急増といった、現代の生活を支える重要な要素がこのころ時を同じくして開発され、普及したのである。「デザイナー」という職業もこのころはじめて認知され、第一世代のデザイナーたちは新しい技術を基盤としてさまざまな未来像を描き、機関車から家具まで分野をまたいで活躍を見せた。

街と街をつないだ新しいスタイル「流線型」の機関車、高性能でスタイリッシュな自動車や大型船、家庭ではトースターや掃除機が新しい時代の到来を告げ、家事の重労働から解放された女性は新しい女性向け雑誌でニューモードを品定めした。情報のスピードとともに急激にライフスタイルが変化したこの時期のデザインは、どれも大胆でユーモアにあふれ、ある種の自信やエネルギーさえも感じさせる。それまでヨーロッパの影をおいつづけていたアメリカは、ここにきてようやく、“アメリカンスタイル”という独自の文化をつくりあげることに成功したと言えるであろう。

主な作品
       ソファ・セット

クラブチェアとオットマン/制作年代:1934年/デザイナー:ドナルド・デスキー
アメリカン・モダン・ディナー・セット グローブ・ラジオ
アメリカン・モダン・ディナー・セット/制作年代:1937年/デザイナー:ラッセル・ライト/メーカー:スチュベンヴィル・ポタリー社(写真左)
グローブ・ラジオ/制作年代:1935年/デザイナー:レイモンド・ローウィ/メーカー:コロニアル社(写真右)
ブレックファースター アーウィン・ラジオ

ブレックファースター/制作年代:1936年/メーカー:カルキンズ・アプライエンス社(写真左)
アーウィン・ラジオ/制作年代:1938年/メーカー:アーウィン社(写真右)
           ヘア・オーナメント
プラスチック製ヘアーアクセサリー/制作年代:1920年代後期

IdcNデザインミュ−ジアム・コレクションシリーズ vol.8
アメリカン・アール・デコ〜モダンライフの時代
会期:2001年4月1日(日)〜22日(日)
会場:国際デザインセンター・デザインミュージアム+デザインギャラリー
主催:株式会社国際デザインセンター