2013.10.01 |
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メディカル・デザイン 未来の問題解決に向けた発明
フランスのサンテティエンヌ市で開催された「Medical Design」というシンポジウムで、トヨタが開発を進める介護医療向けロボットについて発表させていただく機会をいただいた。カナダ、ドイツ、オランダ、そしてフランスから、PHILIPSのような大手企業、THUASNEという日本ではあまり知られていないが関節用サポータではトップシェアの仏地元メーカのプロダクトデザイナー、そしてデザイン研究者や学生などが集まり、医療関係のデザインについて活発な議論が交わされた。
このシンポジウムの動機となっているのは、各国で高齢化が進み今後ますますヘルスケア製品が重要かつ成長することが期待される一方で、そのデザインがまだまだ発展途上にあり、今後のヘルスケア分野におけるデザインの大幅な進化が、私たちのQOL向上に貢献することを期待してのものだ、と理解をした。
Medical(医療)に関わるデザインのシンポジウムということで、どのような議論が交わされるのか楽しみにしていたが、プロダクトデザインのみならず、製品が使われる医療環境のデザイン、医療診断情報の提示デザインまで、議論は多岐に及んだ。
基調講演2件、一般発表9件の中で、私は唯一のエンジニアであり、私のロボット開発の話は、聴講者にはかなり異色に写ったことだろう。しかし、唯一の日本(唯一のアジア)からの発表に、発表の前後には多くの方から関心や質問を頂き、欧州においても高齢化が進む中、介護ロボットへの関心が高まっていることを窺い知ることができた。また、今後ロボット技術を適用した知能機械が医療現場に入ってくることに向けて、外観上のデザインだけでなく、ヒューマン − マシーン・インターフェイスとしてのデザインが果たす役割が大きくなっていくことを参加者が感じ取ってくれれば幸いである。
また、私自身、このシンポジウムへの参加を通して、エンジニアとして多くのことを学ばせてもらった。多くの発表者が、製品開発のできるだけ早い段階からデザイナーを交えたチームで開発を進めることの重要性を訴えていたことには改めてエンジニアが技術中心に開発を進めるやり方の問題点を認めるところであるし、特に医療分野では、ユーザーも一緒にデザイン開発、製品開発を進めるインクルーシブ・デザインというアプローチについて何名かのデザイナーが言及していた点も興味を引かれた。また、病院や施設の環境デザインについても共感するところが多くあった。
今回の貴重な体験を今後のロボット製品開発に活かしていきたいと考えている。
(初掲:クリエイティブ・デザインシティなごや ウェブサイト)
メディカル・デザイン 未来の問題解決に向けた発明
日時:2012年11月20日
会場:シテ・ド・デザイン(サンテティエンヌ市・フランス)
主催:シテ・ド・デザイン、サンテティエンヌ市
クリエイティブ・デザインシティなごや推進事業実行委員会
主催構成団体:名古屋市・株式会社国際デザインセンター・名古屋商工会議所・中部デザイン団体協議会
※クリエイティブ・デザインシティなごやでは、ユネスコ・クリエイティブ・シティズ・ネットワーク加盟デザイン都市との交流を促進し、今回は、名古屋と同じデザイン都市に加盟認定された(2010年)フランス・サンテティエンヌの依頼を受け、国際シンポジウムに講師を派遣しました。こうしたさまざまな活動の詳細は、クリエイティブ・デザインシティなごやのウェブサイトの「イベント」「レポート」でご覧いただけます。
鴻巣仁司
トヨタ自動車 パートナーロボットデビジョン プロジェクト・マネージャー/エンジニア |
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