2013.10.01 |
ありがとう IdcN!
国際デザインセンターと台湾国立成功大学は、3年前からインターンシッププログラムを提携している。本年度は、幸運にも、私が国際デザインセンターでインターンとして研修する機会に恵まれた。新たな学びの待つ日本へ旅立つ前夜は、緊張と期待とで胸が高鳴る思いであった。
パート1
名古屋の土をはじめて踏んだ私は、右も左も分からぬまま、国際デザインセンターから提供された興味深い場所のリストを頼りに、名古屋城や徳川園などの観光スポットを訪ね歩いた。また、トヨタ工場やトヨタテクノミュージアム産業技術記念館やトヨタ博物館など産業に関連する場所を見学し、国際デザインセンターのデザインミュージアムでは、1940年代後半以降に名古屋が日本の産業界で果たした役割の大きさを学んだ。この国が、数十年で成し遂げた急速な成長と発展には目を見張るものがある。
国際デザインセンターでの私の仕事は、主に「国際若手デザイナーワークショップ」と「名古屋デザインDO!」の準備であった。日本語を必要としない仕事に全力を尽くして頑張ったが、繰り返し何度も説明し根気よく私に接してくれた同僚の方々には感謝するばかりである。仕事の合間には、デザイン関連の情報や書籍などに目を通す機会を与えて貰い、名古屋や世界各地のデザイントレンドを垣間見ることができた。また、国際デザインセンターが海外の国々と幾つもの国際協力を行っていることも知った。デザインと人間性に対する熱い思いを分かち合える人々との出会いは、興味深く、心躍るものがある。
パート2
私は、11月26日から始まった5日間のワークショップにも参加した。私たちのグループは、日本、台湾、中国、アルゼンチン出身の6人の学生と3人のディレクターから構成され、公共デザインに関するプロジェクトに焦点を当てた。文化や背景の異なる人々との作業は、実にエキサイティングである。コミュニケーションの壁に幾度もぶつかりながらも、3日間という短期間で何とか一つのデザイン提案にこぎ着け、最終日のプレゼンテーションに臨むことができた。印象的だったのは、プレゼンテーションの会場に、大勢の聴衆が集まり、注意深く私たちの提案に耳を傾けてくれたことである。会場からの質問は、大変現実的で、重要であり、私たちは、それらから多くのものを学ぶことができた。このワークショップの最大の醍醐味は、アイデア交換、ディスカッション、公開プレゼンテーションにあると思う。忘れることのできないユニークな経験であった。
パート3
滞在期間中、日本文化をさまざまなかたちで体験することができた。日本人と同じように、地下鉄に乗り、日本食を食べ、日本のテレビを見て、時に、カタコトの日本語を話して過ごす日々は、本当に面白かった。暇さえあれば、市内の散策にでかけたが、名古屋は、一ヶ月、いや、それ以上を費やして探訪すべき場所だと感じた。新しい発見に出会わない日が一日もないほど、豊かな文化を感じさせる街である。
最後に
ここでの出会いから、デザインが果たす社会的役割について大いに啓発された。また、国際デザインセンターのような組織が機能するために裏方で行われる仕事を見聞することができて、研修の終わる頃には、自分の将来のキャリアとしてこのような場で働くことを考え始めるようになっていった。
言葉の壁は大きくても、そのことが、素晴らしい物事を経験する障害にはまったくならなかった。いつの日か、再びここを訪れることができるよう願っている。
ありがとう 国際デザインセンター!
(初掲:IdcN Annual Report 2010/2011年6月)