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INTERVIEW:登録企業の魅力をご紹介

ファイン・バイオメディカル 有限会社

近年、医工連携によるものづくりは次世代産業の新たな柱として注目されている。
その中でも、カテーテル手術シミュレータの需要を掘り起こし、新市場を開拓したファイン・バイオメディカル有限会社は、当地域の医工連携における代表的なベンチャー企業である。2006年にはその主力商品「EVE」でグッドデザイン賞を受賞している。社長の池田氏に事業間連携のものづくりについて話を伺った。

EVE画像

Q.「EVE」を製品化しようと思い立ったきっかけは何ですか?

  • 池田:そもそも、私は医療系ではなく機械工学系の出身です。名古屋大学で医療用マイクロロボットの研究を行っていました。そのロボットの評価用に血管モデルを制作したところ、教授や関係者から高い評価を頂き、現在の技術の基礎研究を行うことになりました。研究費用は文部科学省の大学発ベンチャー創出支援制度を活用しました。その制度は研究成果を事業化して社会へ貢献することが要件であったため、起業しました。今考えてみると、その要件がなかったら、研究員のままだったと思います(笑)。
  • 評価用血管モデルの写真
  • 聞き手:基礎研究と製品化には大きな違いがあると思いますが…
  • 池田:文部科学省からの支援は、基礎研究の血管評価モデルまでしかありません。その成果を製品化につなげるための支援を独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から得られたことにより、中部地域の企業を中心にご協力いただき、製品化に至ったわけです。両方の支援がなければ、ここまで来られなかったと思います。特にNEDOの支援は大変大きく、2005年の愛知万博への出展によって多くのメディア取材を受け、それがきっかけでクライアントの獲得につながりました。しかし、まだ課題も残っていますので、その対策に今も取り組み続けています。

Q.愛知万博への出展やグッドデザイン賞受賞など、好評の理由は何ですか?

    EVE披露時の写真
  • 池田:機能性だけを追求したのではなく、デザインも含め、全体的なバランスの良さがその理由だと思います。機能や設計はこちらで行いましたが、外観であるマネキンのデザインを依頼した協力会社のデザイナーさんには今でも感謝と尊敬の思いを持っています。多分、このデザインが違うものであったなら、ここまで高い評価を受けなかったと思っています。この時、初めて企業の製造技術者だけでなく、デザイナーと製品開発を行ったわけですが、今にして思うと、うまくいきすぎたぐらいに感じています。

Q.先ほどの話での「EVE」の課題とは何ですか?

  • 池田:今までは全て自分の目の届く範囲で行っていれば良いことでした。つまり、自分たちで設計や製造工程を考えていれば良かったのですが、知名度が上がるにつれ、顧客の要望のスピードに製作が対応できなくなってきました。設計についても自分一人で行うには時間が足りません。そこで全ての工程に自分が関わらなくてもできるよう量産用に生産工程を見直しています。
    そのためには、新たな協業先の獲得、量産に対応できる各装置のコンパクト化やモジュール化が必要で、現在、取り組んでいるのはその部分です。これらの問題は協業先にただお願いすれば解決するわけではありません。お願いの仕方や付き合い方を知っていないといけない…。それを最近になって痛感しています。
  • EVE全体写真

Q.連携した製品開発で特に難しく感じるのはどんなところですか?

  • 池田:やはり、デザインについては難しいですね。一般的かどうかは別にして、弊社が企画する製品には自分らしさが欲しいんです。例えば、スタイリングについてもそれなりにこだわりたい…私の期待が大きすぎるのかもしれませんが、協業先にご提案いただいたプロトタイプが、自分が思っているものと大きく違ってできてしまうことがよくあります。そのような場合は、結局、自分たちでゼロからデザインや設計をし直しています。これでは協業先にも大変失礼ですし、どうしてそうなってしまうのか…本当にデザイナーとの仕事は難しいですね。もっとうまく伝えられたらと思います。仕事のお願いの仕方を勉強させられる日々です。
    そういう意味でも初めて開発した「EVE」本体のデザインは本当にうまくいった事例ですね。コンセプトを伝え、そこからマネキンを作る中で、様々なスタイルを考えながら透明感のあるシンプルなデザインに仕上がったと思います。このように共に考え、寄り添って歩いてくれる人と出会えたら良いと思います。

Q.ユニークな着想はどのような開発プロセスから生まれてくるのか簡単に教えてください。

  • 池田:スケッチを色々描いて考えるというより、むしろまず手近な部品などを活用し、簡単な可動モデルを作るところからスタートしています。そうすることで、機能を重視した様々な着想が生まれ、別の使い方や考え方を思いついたりして新たな形につながります。
  • 組立写真

Q.名古屋医工連携インキュベータにいるメリットについて教えてください。

    名古屋医工連携インキュベータ建物の写真
  • 池田:インキュベータに常駐しているIM(インキュベーション・マネージャー)にはとても感謝しています。弊社のようなベンチャー企業は創業当初に比べて、製品は変わりませんが、従業員も増加し、業務の内容も変化しています。それに伴い、法務・財務・労務の管理など、社長として製品開発以外にやらなくてはいけないことが増えました。IMはそういった相談に乗ってくれ、ネットワークを活用し、専門家を見つけてくれます。自分一人だったら頭を抱えてしまうような問題もIMという存在のおかげで、一人で悩まなくてすみます。それだけではなく、話をしている中で先に問題点を見つけ、解決のためのヒントを与えてくれるのはとても大きな存在です。
    また、仕事の相談だけでなく、IMが企画してくれる活動もとてもありがたいです。先日、IMの方のご好意でそば打ち体験をさせていただく機会に恵まれ、社員一同参加しました。こうした活動も社員同士の結束力を高められるとても貴重な機会です。

Q.今後の展望は…

  • 池田:海外からの受注も発生するようになったので、安全基準の問題など製品に関する色々な問題をクリアするためにも、連携してものづくりを行っていきたいと考えています。
    自分一人ではなく、連携によって大きな力にしていくために、新たなビジョンを大きな枠組で共有し、チーム一丸となって製品開発に力を入れていきたいです。
  • EVEを持つ池田氏の写真